生活保護のケースワーカーについて考える④

生活保護制度

ケースワーカーは、福祉・子育て・保険・医療・住民生活上のトラブルなどの総合相談窓口的な立場だ。

ケースワーカーには様々なタイプがいるが、個人的には、大きく分けると次の3パターンだと感じている。

①受給者からの相談があった際に、自分の知っている知識の範囲内での回答のみで終了する。

②受給者からの相談があった際に、適切に相談内容の調査や対応を開始する。

③受給者からの相談がなくても、生活状況や性質等から判断し、適切な相談業務を開始する。

受給者の中には、疾病や傷がい等の影響で、自分の置かれている状況を適切に自己判断や分析ができず、「相談まで至らない(相談するという発想がない)」ということがよくある

ケースワーカーは「毎月1日に生活費を支給してくれる人」としか理解していない(位置づけていない)受給者は結構多い。

従って、③の対応ができるケースワーカーが一番業務の質が高いと判断できるが、これまでのコラムで説明したとおり、ケースワーカーの置かれている課題(基準以内の担当ケース数への調整、十分な研修体制の整備、査察指導員の資質向上など)が改善されない限り、②でもほぼベスト、①でも十分という評価もしなければならない。

福祉事務所のケースワーカーの追加配置(増員)と地方自治体の定数管理との綱引き

企業に限らず各地方自治体においても、人口減少などに伴い人材不足が慢性化しつつあり、人事担当部署では、新採用職員(特に専門職)の確保に頭を抱えている。当然ながら、人口が減少すれば、地方自治体職員も減少させていく必要がある。(※地方自治体職員は住民税等の税金を使う人、納める住民や法人が減少すれば事業ができず、給与も支払えない。)

地方自治体として、適切に職員の定数管理をしなければならないため、福祉分野への職員配置増にスムーズに対応できないのは当然である。(※基本的には、ケースワーカーを5人増加させるためには、それ以外の職員を5人減らすことが前提)

それは理解しつつも、100世帯以上を担当するケースワーカーの激務については、福祉事務所長や人事担当にはしっかりと知ってほしいという気持ちもあるだろう。真面目な者ほど各受給者の板挟み状態となり優先順位を壊してしまい、結果、精神的な病気を発症することもある。

一つの改善方法として、国の会見検査院の検査や都道府県の監査時に、「ケースワーカーの配置人員不足」を、検査あるいは監査の結果として、しっかりと指導・指摘されるような対応の仕方もテクニックの一つとして利用することも効果的である。国や都道府県の上位機関に指導されれば、首長や福祉事務所長も改善への対応に動かざるを得ないと考えている。特に会計検査院の指導は新聞に掲載されるレベルの問題であるからである。

★「生活保護のケースワーカーについて考える⑤」に続く

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