東京都江戸川区のケースワーカーの件について

生活保護制度

ケースワーカーだけを責める環境では職員は疲弊し、仕事への意欲の欠如や閉塞感を感じてしまう。

東京都江戸川区で、孤独死した生活保護受給者の遺体が検死後2ヶ月にわたり放置された事例が報道された。担当した20代のケースワーカーは死亡後の各種手続きを行わず、また、務処理の遅れを上司(査察指導員や課長等)に報告・相談できないままだったようだ。

以前、江戸川区は、東京の23区の中でも保護率が高く、約4%から5%の住民が生活保護を受給しているとのデータを見たことがある。全国平均の保護率が1.6%台であるので、かなり高い数値だ。保護率の高い自治体では、地区割りの状況などにより、一部のケースワーカーが標準以上の世帯数を担当することがあるようだ。

江戸川区が発表した当該職員への処分内容は、「懲戒処分(停職5日)」だった。私個人としては、担当ケースワーカーだけではなく、福祉事務所長以下、課長、係長(査察指導員)も同等以上の処分を課すべきだと感じた。

査察指導員は、管理下のケースワーカーが担当する生活保護受給者の「廃止状況の随時把握」とケースワーカーへの指導を自らしっかりと行う役割を持つ。

生活保護制度において、最も神経を集中して誤りがないように管理すべき項目が「廃止」の処理であると私は考えている。廃止理由は多岐に渡り、処理誤りや遅滞が生じれば適正な生活保護行政の運用が困難となるからである。

孤独死や失踪など、廃止日の特定を慎重に実施しなければならないケースは想像以上に多い。そのため、査察指導員は所管するケースワーカーの廃止については、常時、その処理の進捗管理を行わなければならない。ケースワーカーが相談しなかったから処理が遅滞したというのは言い訳に過ぎない。査察指導という業務は日々のケースワークの交通整理そのものである。

いずれにしても、ケースワーカーだけの問題にぜず、福祉事務所全体の問題として、若い職員を潰すことがないような対応や環境改善を期待したい。

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