生活保護のケースワーカーについて考える③

生活保護制度

事務の質やレベルではなく、困難なケース(被保護者)との対応に悩んでしまうケースワーカーが多い。

市町村職員に就職するタイプ(比較的安定志向、危うきには近づかないという意味での危機管理能力が高い)の人間にとって、「過去に会ったことや関与したことがない」というレベルの各種トラブルや疾病等を抱えた者と接するのは、慣れていないという点でもストレスになる場合がある。

私自身が経験した困難ケースは多数ある。「毎日、必ず福祉事務所の窓口に来所する者」、「毎朝、殺人予告をする等の重度精神疾患を持つ者」、「窃盗や傷害等の事件を起こし、刑務所と生活保護を行き来する者」、「子どもの虐待を繰り返して、児童相談所の一時保護が頻繁な世帯」、「自殺未遂を繰り返す者」など数え切れない。

生活保護の廃止や停止を伴うケースへの対応は、事務負担も急激に高くなり、上記のようなケースが2,3件同時期に重なってくると、役所内の関係課との連携や協議、警察や児童相談所などとの調整等も生じるため、残る世帯への適切な支援が困難となり、新たな問題が生じる場合もある。

査察指導員(SV)の質と積極的な関与や活用は重要。

自治体によって差はあると思うが、通常、「査察指導員」として配置される職員は、ケースワーカーの経験を持つ係長級以上である。私が勤務していた中核市でもほぼ9割以上はケースワーカーの経験者が配置されていた。

そのため、私自身も3年間のケースワーカー業務を人事異動により解放されたが、2課6年間の期間を経て、再度、査察指導員として生活保護業務を担当することになった。異動の内示を受けたときは、内心強いショックを受けたがやむを得ない。

「査察指導員の質」はケースワーカー時代に(逃げずに・目をつぶらずに)しっかりと前向きに取り組んでいたかどうかに関与すると感じている。問題発生時や困難ケースの世帯へ積極的に同行あるいは代理で訪問してくれる査察指導員であれば、ケースワーカーは心強いと思う。その逆ならば・・・。

いずれにしても、悩んだときは、問題が深くなる前に、査察指導員に相談することが重要である。

★「生活保護のケースワーカーについて考える④」に続く

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