生活保護のケースワーカーについて考える②

生活保護制度

知識や経験が豊富であれば「うまくいく・改善する」、とは必ずしもならないのが生活保護のケースワーカーの苦しいところ。

私自身の経験として、生活保護のCWに配置される前に、保育や子育て支援、高齢福祉や介護保険の経験がトータルで7年程度あった。このときに得たたくさんの福祉関連の知識が、逆にCWとしての自分自身を苦しめた。

もし、担当世帯数が基準の80世帯であれば、他の福祉分野の知識及び経験、昔から関係のある機関や関係者等との連携が効果を発揮したのだろうと現在は感じている。

しかしながら、リーマンショック直後の私は1年目に110世帯、2,3年目は120世帯を担当せざるを得なかった。また、通常、CWは担当地域のCWの支援だけではなく、新規申請者の「保護申請に対する調査」を実施しなければならず、当時は、月に4件(4月等の人事異動時期は6件)程度の新規調査も並行して担当していた。(※CW経験者であれば、大変だと理解いただけると思う)

そのような状況では、「様々な知識や関係者との連携」は自分のキャパをオーバーフローさせてしまう状況になってしまったのである。自宅に帰っても次の日に会う世帯への支援内容を数時間準備する日々が続いた。

「過剰な支援は行わなくて良い」というスタンスも、CWに必要な一つの姿勢と評価。

他の分野では、「真面目に取り組めば取り組むほど、努力すればするほど、組織や自分に還元される」ことが多かった。しかしながら、生活保護のCWは(自分では経済的に自立できない状況の)支援相手があって、その当事者が「工夫して考えた援助方針」に従わなければ、「結果として、裏切られる」という苦しいケースに多数直面してしまうのである。

生活状況や病状等に複数の課題やトラブルを有する世帯は想像以上に多い。具体的には、一般的に公務員がそれまでの生活歴や家庭環境では経験したことがないレベルの経験や考え方を持つ被保護者は多く、良かれと思って行った支援が理由で「このCWとは関わりたくない、担当を変えてくれ」といった要望に繋がることも少なからず発生する。

すなわち、「プラスを目指した支援が、一瞬でマイナスへ転じる瞬間」の経験である。特に何にもしなかった隣のCWは余裕で業務を継続しているのを目の当たりにしてしまうこととなる。

★「生活保護のケースワーカーについて考える③」に続く

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