出納整理期間と出納閉鎖について

財務・会計・事業評価

出納整理期間(4月1日から5月31日まで)の基本的な考え方について

「出納整理期間」は、地方自治法第235条の5により、普通地方公共団体の歳計現金の出納を整理するために設けられた期間(会計年度の翌年度4月1日から5月 31 日までの期間)のことです。その期間は、当該会計年度の未収金及び未払金の現金の出納そのものを整理する期間であるため、この期間の間に既に経過した会計年度の収入にかかる新たな調定及び支出にかかる新たな支出負担行為は、原則行うことはできません。

例えば、令和5年度(4月1日から3月31日)までに行った事業等で、かつ、3月31日までに確定(各種事業や物品購入等に関して、検査や検収を完了しているもの)について、年度末(3月31日)までに支払いのみが完了していないものの支払いが実施できる期間が「出納整理期間」という位置づけです。

従って、令和6年度が開始となり、令和5年度の出納整理期間に突入した以降で、「令和5年度(前年度)の予算が余っているから、それを使って、前年度内の日付で物品を購入しよう。」ということは、事実と異なる調定を起こす行為に該当するため、法令に抵触します。

あたかも当該会計年度末までに問題なく完了したように見せかける行為(追加の調定や事実と異なる日付の記載)は問題だ。

私は、一般会計2000億円台の地方自治体で、支出関係書類の審査や研修資料の作成、並びに決算書の作成などを4年間担当した経験があります。その業務の中で、特に若手職員は、会計年度中に間に合わなかったものでも、「出納閉鎖」の5月31日までならばなんとかなると勘違いしているものが少なくない状況でした。

例えば、委託事業の検査検収日や購入物品の納品日及び受領日などが、新年度開始後の4月1日以降になっているものが散見され、その都度、会計年度や出納整理期間の説明をしなければならない状況がありました。

あくまでも会計年度内に完了した証拠(3月31日までの検査・検収印)がなければ、当該年度の予算での支払いができないということを理解していない職員(担当職員のみならず、その上司・決裁者)がかなり多い状況でした。(※現在は会計システムでエラーチェックできるので少ないはずですが・・・)

当該年度末(3月31日)までに、委託先の事業報告書の提出がギリギリ間に合わなかったり、職員自身が検査行為を失念した場合など、出納整理期間内にシステム上可能な一定の操作を行って、あたかも当該会計年度末までに問題なく完了したように見せかける行為が問題となった事例は全国的に散見しています。このような不誠実な行為は行わないよう注意すべきです。(※通常は公表のうえ処分されます。)

いずれにしても、年度末までに円滑に完了できるよう十分にコントロールしながら、万が一間に合わない事態が生じた際は、必要に応じて、次年度への予算の繰越手続きを行うなどの適切な処理が必要です。

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