市町村職員特有のストレスについて

あれこれコラム

市役所や町村役場の職員になれば、他の分野とは異なるストレスが発生!仕事との向き合い方を整理しよう。

比較的に倍率の高い地方公務員に合格すると、ひとまず安心して公務に取組み始めることとなります。むしろ、本人よりも両親等の家族の安心度の方が高いのかもしれませんね。

しかしながら、個人差(特に性格的なもの)もありますが、ほとんどの地方公務員には地方公務員ならではの「ストレス」が徐々に蓄積していきます。私が個人的に考える(経験上感じてきた)主なストレスは以下のとおりです。

①国家公務員や都道府県庁職員とは異なり、住民や企業等対応の「直接的な最前線の窓口」であること。

基本的に営利を追求すべき企業等においては、基本的には優良な顧客を自ら選択しながら業務に従事することが可能となります。しかしながら、市町村職員においては、全ての住民の相談や行政手続きなどの窓口となり、「この住民は嫌だ、苦手だ。」等の理由で対応を拒むことができません。一般的に、何ら生活上の困りごとやトラブルのない住民が市町村の各窓口に相談することはほとんどないと思います。すなわち、福祉面や生活面での困りごとを持っている住民対応が基本となってきます。

切羽詰まった状態の住民の相談対応は難易度が高く、各種クレームにも繋がりやすいため、この対応が日々重なってくると精神的なストレスが蓄積し、病気休暇などに至ってしまう職員も多い状況です。

②地方行政職員として共通の知識や経験の蓄積は可能だが、「3年程度で経験リセット」が繰り返されること。

市町村役場に就職する前は、定期的に異動する特徴があることをメリットとして捉えていた方も多いかもしれません。しかしながら、地方行政組織は、数十人程度の中小企業が100社程度入ったテナントビルのようなもので、様々なタイプの職種が存在するため、実際に勤務年数を重ねていくうちに、「自分に適している業務や職種はこれだ!」と強く感じる瞬間がやってくると思います。

そのような自分の適性に合致した職場に出会ったとき、3年程度積み重ねてきたスキルや業界との関係が人事異動によりリセットされてしまうことは、かなりのストレスに繋がると感じます。「あと数年継続できれば、かなりの成果を残せる。」と実感する方も多いと思います。

私自身、30年間の市役所勤務の中で、10回程度の人事異動を経験しましたが、「第一希望の職場への異動」はゼロでした。40歳を超えた頃から退職するまでは、まさに「自分の意欲」と「公務遂行の責任感」との戦いが10年ほど継続しました。

③若者の減少、定年した職員の再任用、定年延長などにより、職場内での人間関係の構築が難しくなりつつあること。

お気づきの方も多いと思いますが、過去数年間で、市町村役場内における(定年退職した)再任用のベテラン職員の割合が急増しています。更に今後は、定年延長の制度導入に伴い、部長や課長だった先輩の管理職が各係の中堅職員として勤務を継続することとなります。

このようなことから、これまでは60歳で定年退職した職員数分を新採用職員として補充してきた状況が崩壊することから、結果として、当分の期間は、若手職員の割合が減少していくことが想定されます。

具体的に、6人のある係を例に挙げれば、【50歳係長、45歳副主幹、40歳主査、35歳主任主事、30歳主任主事、25歳主任主事】⇒【50歳係長、61歳主幹(定年延長)、45歳副主幹、40歳主査、25歳主任主事、65歳主事(再任用)】のような構図が想定されます。この状況で25歳主任主事は相談相手が少なくなり、50歳係長は職場の先輩(かつての上司)が2人増加する等、精神的なストレスが生じやすいと想像できます。年功序列の考え方やかつての上下関係が、係内での微妙な関係性を構築してしまい、業務遂行上の影響があることは懸念事項と言えます。

【まとめ】仕事が全てではない。人生や生活の一部が仕事である。趣味を複数持ってストレスを解消しよう!

私が市役所に入庁したての頃は、「疲れているようだね。今日は飲みに行こうか!」と概ね月2回程度上司や先輩に誘われていました。もちろん、(本気で疲れている時など)行きたくないこともありましたが、ほぼ断ったことがありません。いわゆる「そういう時代」だったのですね。

近年は、上司等に飲みに誘われること自体がストレスと感じている若手も多い状況であるとの評価が一般的であることから、誘われることも少なくなった(キッパリと断ることが多くなった)ようです。いずれにしても、ストレスを蓄積しないよう、職場関係以外にも目も向けるよう心がけましょう。副業や兼業に取り組むのもいいかもしれません。

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