守秘義務と個人情報保護について

あれこれコラム

コンプライアンスの徹底を図るための中心的な事項で、対応を誤ってしまうと全国的な報道や処分に繋がる場合あり

 最近は特に頻繁に、個人情報の「流出」あるいは「漏えい」に関する事例が報道されています。企業が持つ情報は、氏名、住所、電話等の基本的な事項プラス企業が求める各情報ということになりますが、市役所や町村役場が持つ個人情報には、住民が持つ世帯や世帯員の問題や悩みに関する「特に配慮を要する情報」が含まれています。

 「個人情報の保護に関する法律(通称、個人情報保護法)」は、ITやメディアの急速な発展・普及により、個人の権利や利得が侵害される可能性が高まったことを受け、平成17年4月から全面施行されました。それから17年以上経過しましたが、30代以下の市町村職員は、施行前後の状況を知らない場合があるため、(※研修機会が少ない職場においては)個人情報保護に対する意識が低いように感じています。

 「個人の情報を保護して、外部に漏らなければよい。」程度の認識を持つ職員もいるようで、また、法の全文を通読してない職員も多いと感じていますが、平成29年5月に全面施行された「改正個人情報保護法」については、十分に注意する必要があります。

 その一つが「要配慮個人情報」の定義や取扱いが新たに追加されたことです。私は福祉分野や子ども・子育て分野での業務歴が通算15年以上ありますが、この要配慮個人情報(病歴、診断結果、障がい、犯罪歴等)を取り扱う場面については、特に注意していました。

 具体的には、個人情報を取得及び管理している担当課内部であれば、黒塗り部分なく「要配慮事項を持つ市民等に対する支援策」等の検討や協議が可能です。しかしながら、担当課だけでは解決や改善が困難な場合は、他の機関や関係者と連携が必要になります。〇〇協議会や〇〇会議等で各関係機関の意見やアイディアをとりまとめたうえで支援を行うというケースがあり、その場合は、原則、各機関等が提出する書類に記載している「要配慮個人情報」には黒塗りが必要となります。

 ただし、各参加機関が、個別に個人からの同意を受けていれば、黒塗りや情報の除外などの配慮は不要です。また、会議の冒頭や資料の中で、改正個人情報保護法第17条に該当している検討案件である旨を主催者が示すことが重要だと考えています。経験上、会議に参加している者が「個人情報」の取扱いに躊躇してしまうと、必要な情報の入手や支援策の検討が不十分となるため、会議を主催する課や担当は個人情報に関する位置づけや考え方を予め説明するようにしてください。そうすれば安心して関係者等から様々な情報をいただける可能性が高まります。まずは、改正個人情報保護法の通読を!

 

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