株式、投資信託、新NISAを考える②

あれこれコラム

雑誌、新聞、ニュースをはじめ日本中で「新NISA」に関する情報が紹介されている。昨年までのNISAの内容とは比較できないレベルの充実ぶりで、非課税投資枠や非課税対象期間が大幅に優遇された。細かい制度内容や株を購入するまでの準備などについては、複数の情報があるのでそちらを参照していただこととして、ここでは「株初心者向けの留意事項」に絞ってご紹介したい。

①日々の評価額の変化(特に下落)に対して敏感に反応しすぎない。

株価は株式市場が開場している時間帯は常に変動する。例えば、いずれかの日本株を100株購入した場合、株の単価が10円上昇すれば、100倍の1,000円が含み益(購入時価格よりも現状の時価が高い状態)となる。一方で、大量に同じ株を保有している投資家や企業が一気に連続して売却した場合は、1日で株単価が100円以上値下がりすることも頻発する。仮に株単価が300円下落すれば、100株で30,000円の含み損(購入時価格よりも現状の時価が低い状態)となる。

1日で数万円の含み損が発生する状況にメンタルが耐えられるか、冷静にいられるかどうかが、新NISAを含めた株式投資を継続できるかどうかの鍵になる。

1日で上下2%程度相場が動くのは通常であり、5日連続等で下落することも年間にはよくあることで、短期間で10%程度下がる状況であれば、100万円の株式投資をしている者は10万円の含み損の状態となる。この状況が怖くなり、保有株を慌てて下がった状態で売却する投資家も多いようだ。このような投げ売りをする者が複数重なると、株価は更に一気に下落する。

特に新NISAを検討する方は、「10年や20年以上の長期保有を基本として購入」、「多少の株価の変動は一切気にしない心構え」などの準備をした上での購入をお勧めする。

②長期での投資がメインか、短期での投資がメインか、自分のタイプを理解する。

会社等に勤務している方については、デートレードのような短期投資を繰り返して利益を得る手法はほぼ困難だろう。保有している株の値動きを頻繁に確認する必要があるからである。私のサイトをご覧いただいている方は「地方公務員」の方がほとんどなので、当然ながら長期での投資がメインとなるとなると思うが、長期での投資でのメリットは「配当」を受けることも重要となるため、長期間高い配当を株主に還元している企業を選ぶことが重要となる。

株式投資で損をしないためには、購入候補の企業の業績をしっかりと確認したうえで、納得して購入することが重要である。また、一部は、多少業績は低迷していても、自分の好きな企業や地元の企業の株式を購入することも一つの株の楽しみ方と思っている。

私自身、自分が乗っている車の企業、仕事で関係した企業、地元の上場企業等を一部組み入れるようにしている。

なお、株で大きな利益を得たいという方は、デイトレードを行うか、近いうちに株価が上がりそうな企業を調べて安いうちに先回りで大量購入するかのいずれかになると思う。

③投資信託のメリットとデメリットについて理解する。

「特定の企業の個別株を買うのは、企業情報の勉強が必要だし、価格の下落時などが怖い。」という方には各証券会社が販売している「投資信託」を購入することが適している。投資信託は、簡単に言えば、証券会社が調理したおせち料理みたいなもので、いろんな優良企業の詰め合わせセットでもある。

すなわち、株式のプロが一定の信託報酬をもらって(利益等から差し引いて)運用しているため、一定の利益を得ることが(個別株を購入するよりも)高くなっている商品である。

実際、個別株の運用に時間や労力をかけて取り組むよりも、優良な投資信託を購入して長期間放置した方が、信託報酬を差し引いても、かなり高い割合で利益を得られるというデータはたくさん見たことがある。

ただし、投資信託には様々な商品があるため、自分にあったものを選択したい。人気が高いと紹介される機会が多い商品は、S&P500、オールカントリー等があるが、これらは米国株がメインとなっているため、ドル円の為替の影響を受けることから、日本株で構成された商品を購入するという選択もある。

④株式購入は100株単位の購入が基本だが、最近は1株から買えるようになり、購入手数料もゼロ(無料)がほとんど。

「株には興味があるが高いので買えないな。」「手数料が取られるので怖いな。」という方も多いと思うが、最近の各証券会社の商品設定や価格競争等の効果により、「1株から手数料無料で購入可能」という状況が基本となってきた。

例えば、ユニクロで有名なファーストリテイリングの株を100株購入する場合、2024年1月12日現在で1株単価38,000円程度するため、約380万円と高額であるため躊躇してしまうが、1株のみ購入し、株価の動きを楽しみながら値動きや企業の業績などを勉強するということが可能である。

また、100株でも10万円以内で買える株は多数存在するため、その中から、将来の値上がりを期待して複数の企業を購入するという方法もお勧めしたい。既に1株1万円以上するような企業については、現在の数倍などの発展は困難であり、むしろ、何らかの不祥事や欠陥が発生した際の株価の暴落の可能性もある。しかしながら、100株10万円程度の企業の数を分野別に複数保有していれば、リスクの分散が図られるとともに、何らかの新商品等のヒット等で株価が上昇するなども期待できるため、全体的に安定した株式投資を実施可能となる。

今回のまとめ

●様々な増税や価格上昇の時代の中で「非課税優遇の新NISA」の活用メリットは大きい

●不安な年金制度や低金利の金融機関に期待できない状況では「自分なりの資産運用」が重要

●1株単位での購入や手数料無料により「株式の購入が手軽な時代」の到来

●放置していても長期視点で資産が増加する「優良な投資信託の商品」が複数発売

コメント