株式、投資信託、新NISAを考える①

あれこれコラム

物価の上昇、給与の上昇、便乗値上げについて

昨年頃から徐々に「給与改善(ベースアップ)」の兆しが見られ始めた。しかしながら、バブル崩壊以降30年間ほど継続したデフレの状況から、一気にインフレに転換したため、「物価上昇」に給与の上昇が追いついていない状況である。すなわち、これまでの1万円が9,000円ぐらいの価値に感じている方も多いと思う。

日常生活では、「150円だったコンビニのスイーツが230円になった。」、「ラーメンが750円から900円になった。」など、ニュースや新聞で報道されている物価上昇率(2~3%)を遙かに超える価格改定が目につくようになった。これらは、円安に伴う材料費の上昇や給与改定に伴う人件費の上昇が複合的に関係しているため、業界によっては20%程度の価格上昇はあたりまえの状況となっている。

厳密に計算すれば、10%程度の価格改定で維持できるが、時代の流れに便乗してもっと値上げをしているものも多いようであるが、もともとが安すぎたとい状況もあるため、当然ながら、その評価については各消費者の趣向や経済状況等に委ねられている。

恐ろしいバブル時代の金利、貯金・貯蓄の価値観

バブル時代は銀行等の金融機関に預けていたお金にはかなりの利子(利息)がついて、放置していても預金額がかなり増加する時代だったらしい。特に、1990年頃は、1年間の金利が定期預金で6%台、普通預金で2%台だった。つまり、定期預金として300万円預ければ、1年後に約318万円(約2割の税引き前)になり、2年後には約333万円(同税引き前)になる単純計算である。

私がまだ学生だった頃、「1億円あれば利子で生活できる」という台詞をたくさんの大人から聞いていたが、実際の金利から計算すれば、「なるほどな」と感じる。1億円の6%は600万円なので、税引き後でも480万円が収入として手に入るということで、公務員の中堅職員以上の収入に相当する。今では考えられない時代だ。

ちなみに私が預けている地方銀行の現在の定期預金の金利は「0.002%」であり、300万円預けても60円(税引き前)程度である。

社会保障費の上昇、年金制度崩壊の兆し

年金制度は老後の生活費を若い世代も含めた社会全体で支えるシステムである。少子高齢化の進展に伴い、支える者(若者や保険料納付者)が減少し、支えられる者(高齢者や年金受給者)が増加する状況であり、年金の財源確保が年々困難となっていることは周知のとおりである。

若い世代と年金の話をすると、「もう、俺たちが高齢者になる頃は年金はもらえないだろうね」とか「いっそのこと年金制度をなくせばいいのに」とか「年金がもらえなくても、同じ国の制度である生活保護が受けれるのであれば、保険料は納めたくない」などの率直な声が聞かれる。

実際、そのような時代が近づいているのだろうと私は感じている。今年は各種税制改正や年金改正が予定されている。現時点でちらほらと聞こえてくるのは「年金の受給開始を70歳からにする」とか「保険料の納付期間を5年間延長して65歳までにする」とか「厚生年金を利用した財源確保の調整等ができなければ受給額を減額する」などである。いずれも現状よりも年金の恩恵が少なくなり、負担が増加する内容である。

年金受給開始を70歳からとするのであれば、高齢者の定義を「65歳から70歳」に変更すべきだと思う。それに併せて、後期高齢者は「75歳から80歳」に変更したり、介護保険制度の対象年齢も変更するなどの調整が必要だとも感じる。そうなると対象者本人や関係する現場は大混乱だろう。

年金保険料の納付期間を5年間延ばして65歳までにするという案は直接的に各自の生活に直結するので大変恐ろしい改正内容となってしまう。単純に「追加で1人100万円を支払え」という内容だからである。

税制改正も年金改正も「国民や各都道府県民が選挙で選んだ代表者が国会で決定する」というものである。選んだ側の責任として、国会で可決された場合は素直に協力しなければならないし、改正内容に納得できないのであれば、決まる前に各自が声を上げて行かなければならないと思う。

貯金・貯蓄の価値が低下している時代こそ資産運用を!

先ほど例示したように銀行等の金融機関の普通預金や定期預金に預けている現金は、物価が上昇している現状を考えれば、利子が期待できないどころか、現実的にその価値を徐々に低下させている状況と言える。昨年1万円で買えたものが今年は買えないというインフレの状況であるからである。ここまで金利が低いのは先進国では日本だけである。

国は、将来の年金財政の悪化を懸念しており、「NISAやiDeCo」などの金融商品を強く推奨することで、国民各自が老後に備える風潮を作り上げようと必死だと思う。それは、今年1月から税の優遇範囲を拡大した「新NISA」開始したことからも明らかである。

個人的には、新たな税金の賦課や増税等、社会保障費の上昇ばかりに取り組んでいる国の施策としては異例の「非課税措置」であるので、もし、無利子無金利状態の金融機関に預けている現金をお持ちの方は「新NISA」を活用することをお勧めしたい。

★次回(株式、投資信託等の基本的な注意事項について)に続く。

コメント