国が毎年公表している「〇〇白書」を活用!

地方自治体職員の基本知識

内閣府や厚生労働省などの国の各省庁は、毎年、複数の白書を公表している。地方公務員は自分の担当事業が記載されている白書を一度は読もう!

例えば、内閣府が今年ホームページに記載している白書だけでも、以下のとおり。
●経済財政白書(令和5年8月29日公表)
●原子力白書(令和5年7月27日公表)
●防災白書(令和5年6月16日公表)
●高齢社会白書(令和5年6月20日公表)
●障害者白書(令和5年6月20日公表)
●交通安全白書(令和5年6月20日公表)
●男女共同参画白書(令和5年6月16日公表)

ご存じのとおり、市役所や町村役場が実施している各種事業やサービスは、国の関係省庁が予算案や法案等を作成し、国会が承認して開始されたものがほとんどである。地方自治体の自主財源だけでは十分な施策の展開が難しいため、国の財源をもらいながら多くの主要事業を行っている状況である。

これらの白書には、タイトルに関する現行の事業やサービスが記載されているのは当然のこと、今後、国が取り組もうとしている新規事業や先進都市が取り組んでいるモデル事業等も記載されているため、より有利な予算確保等の視点も含めて、地方自治体職員は毎年1回は担当分を読んでほしいと思う。

しかしながら、若手の地方公務員で白書に目を向けている職員はかなり少ないようである。(※ベテラン職員でも全く読んでいない天才肌の者もいる。)

白書を読んで気づくことや活用すべき視点は?

①上司や先輩が教えてくれない先進的な考え方や事業等の歴史が記載されている。

職場の同僚はせいぜい長くても5年程度、短い人は2年程度で異動してしまう。また、同じ事業やサービスについては毎年担当者を変更する職場も多いようである。そのような中、関係法と併せて白書を読んでみると、「このサービスはこれが契機となり構築されたのか。」、「来年度は大きな制度改正が予定されているのか。」、「他都市ではここまで前向きに取り組んでいるのか。照会してみよう。」等の進展が生じることが少なくない。

②自分の自治体が取り組めていない事業やサービスが確認(発見)できる。

一番まずいのは、上司が国のメニューを把握していないという失態である。白書を読み込むと「うちの自治体では取り組んでいないけど、国の補助メニューがあるね。」ということに気がつくことも少なくない。すなわち、上司や前任者の視野の狭さ(勉強不足)が原因で「本来国から補助金をもらって実施できる有効なサービスに取り組まれていない」というケースが生じることに繋がるのである。

③事業やサービスの実績が地区や時系列に記載されているため、自分の自治体の実績との比較が可能。

上司から「●●事業の他県や他都市の実績を調べてほしい」などの指示や命令があった際、白書の中に類似あるいは上司の指示範囲以上の整理された数値やデータが記載されていることもある。これらを代用できるのであれば、根拠がしっかりしているため、一職員が各自治体に照会するよりも精度が高いため、資料として有効となる。

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