都道府県を除く地方公共団体のうち、「政令指定都市」とはどのような事務が可能なのか?また、現在の政令指定都市はどこ?
地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定を受けた「人口50万以上」の市をいう。
ただし、これまでの指定状況を見ると、現状で人口100万人を超過している、または近い将来に100万人を超える見込みがある人口80万人以上の市が指定されている。
政令指定都市に指定された場合、本来は都道府県が処理するとされている「児童福祉」に関する事務、「身体障害者の福祉」に関する事務、「生活保護」に関する事務、「精神保健及び精神障害者の福祉」に関する事務、「都市計画」に関する事務などの全部又は一部を特例として処理することができる。
【令和6年1月1日現在の政令指定都市】⇒20市
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市。
また、「中核市」とはどのような事務が可能なのか?また、現在の中核市はどこ?
地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の22第1項の指定を受けた市をいう。「人口20万以上」の市について、当該市からの申出に基づき政令で指定される。
中核市では、都道府県が処理するとされている事務の特例として政令指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県が処理するほうが効率的な事務その他中核市において処理することが適当でない事務以外の事務、すなわち民生行政に関する事務、保健衛生行政に関する事務、環境保全行政に関する事務、都市計画等に関する事務、文教行政に関する事務などの全部又は一部を特例として処理することができる。
【令和6年1月1日現在の中核市】⇒62市
函館市、旭川市、青森市、八戸市、盛岡市、秋田市、山形市、福島市、郡山市、いわき市、水戸市、宇都宮市、前橋市、高崎市、川越市、川口市、越谷市、船橋市、柏市、八王子市、横須賀市、富山市、金沢市、福井市、甲府市、長野市、松本市、岐阜市、豊橋市、豊田市、岡崎市、一宮市、大津市、豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、八尾市、寝屋川市、東大阪市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、奈良市、和歌山市、鳥取市、松江市、倉敷市、呉市、福山市、下関市、高松市、松山市、高知市、久留米市、長崎市、佐世保市、大分市、宮崎市、鹿児島市、那覇市。
都道府県が行っていた事務を政令指定都市や中核市が担うことのメリットとデメリットとは?権限移譲について。
メリットとしては、これまで基本的に都道府県の施策方針に基づいて実施していた事務や事業について、独自で可能となる事務やサービス等が増加し、また、国が設定した各種メニューの中から、都道府県では予算化していない事業やサービスを、各市の予算状況や地域特性に基づき選択することができる。(※市に意欲がなければ、従来よりサービスが低下する懸念もある。)
デメリットとしては、圧倒的に事務量が増加することになるため、増加した事務量に対応した人員増が図られない場合は、現担当職員はかなり苦労する懸念がある。(※時間外勤務が急増することも懸念される。)特に、補助金等が関係する条例や規則の制定や改正事務については、専門性を要するため、より慎重な作業と時間を要する。
移譲直後は、「県の事務が市に移るのだから、その分、県の職員も移って来てほしい。」と思う方も多いのではないでしょうか。
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