保育士の配置基準の見直し議論が活発化!

子育て支援・保育・幼児教育

保育士の負担軽減や不適切保育の防止に繋がる期待はある。しかし、現状でも保育士不足のなかで、保育士を増加配置するのは至難の業。

 保育士の配置基準については、「0歳児3人につき保育士1」、「1・2歳児6人つき保育士1」、「3歳児20人につき保育士1」、「4.5歳児30人につき保育士1」という規定があります。

 静岡県の虐待事件頃から、国が「保育士の配置基準を見直す」方向性であるニュースがちらほらとでています。もちろん、配置を手厚くする方向ですが、以下の問題や課題があります。

①現状において、保育士の求人をハローワークに登録している施設がかなり多い状況であるが、施設の希望どおりの採用に至っていない

②多くの保育施設は毎日概ね14時間ほど開設しているため、労働基準法上、例えば1・2歳児12人が在園する施設においては、担当は2人ではなく倍の4人が必要となる計算であり、十分な年休取得や各種研修への参加を行うためには、5人は必要といえる。仮に1・2歳児の配置基準が「4人に保育士1人」に改正されれば、保育士6人以上の配置が必要となるため、新たに2人以上の保育士を追加採用しなければならない。

③保育所で勤務するためには保育士資格、幼保連携型認定こども園で勤務するためには保育士資格と幼稚園教諭の両方が必要であるため、国が保育基準の改正を行う前提として、有資格者や免許保有者を養成する機関(大学や専門学校)の増設や定員増をセットで計画しなければならない。

④人材不足は幼児教育・保育分野だけではなく、介護や障がいサービスでも深刻な状況である。少子高齢化や労働人口減少のなか、若手人材の奪い合いが激化することとなる。

 少し考えただけでも、上記のような深刻な課題が思い浮かぶ状況であるので、所管する国の担当は現状把握と将来推計をしっかしと行った上で取り組んでほしい。計画性に乏しい新規事業や地方の状況を無視した制度改正は避けるべきだと感じています。

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